オリジナル作曲のための心構えとテクニック

 「どうやって歌を作っているの?」との質問にお答えするために、
今回は、ケチャマヨの音楽制作について解説します。

バンドや打ち込みで作曲しているアーティストはもちろん、
歌が好きだけどオリジナルなんて作れないよ~といった方にも
僕は我流ですが、ちょっとしたヒントにはなるかもしれません。
詳しく書いたのでかなり長い文になりましたが、どうぞごゆっくりご覧ください。

 

■ 心構え編               

ちょっと自分のことを話します。

ケチャマヨ・ナオヒロは音楽の教育を受けていません。
そればかりか、バンドを組んでいた経験もありません。
そんな人でも大丈夫。大人になってからでも大丈夫です。
音楽を作るための条件は「気持ちを伝えたい」という思い、
そして「今すぐはじめる」行動力が大事です。

実は僕、大人になってから生きる目標を見失っていました。
大人になって、それから、何になればいいか分かりませんでした。
学校ではせいぜい、いい会社に入る方法までしか教えてくれません。
車?家?結婚?子ども?それとも老後の蓄え?
どれもその時の僕にはピンと来ませんでした。

それでも頑張って働いて、何かがあると信じて少しお金を貯めました。
そのお金は物を買ったり、行動したりの資金になりました。お金は大事です。
今までしなかった旅行、スポーツ、ファッション、そして音楽。

いろいろ経験した中で、ライブを観ることとギターを弾くこと、
つまり「音楽」が自分にとって一番楽しく、続けることができそうでした。
この時すでに26歳。音楽に目覚める26歳。イイネ!

大人なので、思い切って高価なギターを買いました。
自分の下手さをギターのせいに出来ないようにするために!

◆ Gibson J-45
http://ja.wikipedia.org/wiki/ギブソン・J-45

25万円くらいもしましたが、とってもいい音です!
もう10年以上使ってるから、トータルでお得ですな♪

なんでGibsonのJ-45なのかというと山崎まさよしが使っていたからです!
http://www.youtube.com/watch?v=BqFftJDXii0

ミーハーですね。きっかけなんてそんなもんです。
それからすぐに、コピーに挑戦!無謀にもこの楽譜で。。。

◆ 山崎まさよし ONE KNIGHT STANDS 楽譜
http://www.amazon.co.jp/dp/4810872726

この楽譜はすごくて、山崎まさよしの弾き語りライブを
アドリブとか、ほぼそのまま楽譜にしたという・・・つまりは超難しい!
それでもかつてないくらいにハマって、集中的に特訓しました。
半年間ほどで楽譜がボロボロになるくらい弾きこんで、
ようやく5曲くらい弾けるようになってきた頃・・・飽きました。

飽きたというか、

「どんだけ頑張っても山崎まさよしには成られへん」

ということに気づきました。
あたりまえですけど、やって初めてわかったことです。

かといって音楽をやりたい気持ちは無くならなかったので、
自然とオリジナルソングを作ろうと思うようになりました。
何曲か見よう見まねで作ってみました。その時の方法は、

  • なんとなくのテーマ(初恋・失恋・冒険・反省・などなど)を決める。
  • 昔好きだったアニメのテーマソングや歌謡曲を思い出してみる。
  • どこかからか響きのいいコードを探して鳴らしてみる。
  • それにつながる新しいコードを自分で弾いてみる。どんどんつなげる。
  • そのコード進行に合わせて鼻歌を歌ってみる。

などなど、多くの部分は発明ではなく改良といったほうが近いですが、
それでもそれは、立派なオリジナルなのです!
明るくても暗くても、マネっぽくても意味不明でも、完全に自由です♪
気にせず歌って、まずは自分が気持ちのいい曲を作りましょう!

でもやっぱり、せっかく世界に一人の「僕」が作るからには
「世界に一つだけの僕の歌」を作りたいですよね。
あと、いくらオリジナルといってもひとりよがりではなく、
みんなに歌ってもらいたいので、僕は
「100年後も歌えるスタンダード」を心がけて作っています。

 

ところが、歌を作るにあたって一番大事な
「歌詞」がなかなか出来ませんでした!
ギターが弾ければ「曲」は出来ますが、
歌詞がなければ「歌」は出来ません。

詩にこそ自分の気持を込めて、伝えることができるのに。。。
その時はこれといった情熱もなく、経験もなく、
空っぽな人間でしたから。

 

サヤカと出会ったのはその次の年でした。
もう衝撃的でしたね。

アートマーケット(アート系のフリーマーケット)で
サヤカが路上で詩と絵の小冊子を売っていたのですが、
その作品に僕は引き寄せられ、なんどもサヤカの前を
通り過ぎては絵を眺め、 立ち止まっては詩を読みました。
一冊100円だったから、すぐ買っちゃえばよかったんですけど。

ようやくサヤカに話しかけることができ、1冊買って家に帰りました。
もう、帰りの電車で音楽が浮かびまくり、部屋に帰ってギター鳴らして
はなうた作曲しまくりでした。

その時から、サヤカとサヤカの作品に出会ったその日から、
はじめてちゃんとした作曲が出来るようになりました。

 

人の詩に頼ってばかりの僕が言うのはなんですが、
特に弾き語りの人に伝えたいのは、自分の言葉で歌って欲しいということ。

歌う自分、聴いてくれる相手、そして生きている世界、
それを忘れないで自分の心からの詩を書いてください!
そのためには色々なことを経験するのみ、です。
(作詩に関してはまたあらためて、サヤカ先生よりお話がある、かも。)

 

■ テクニック編            

「心構え編」が長くなりました。でも大事なのでね。
曲は気持ちを届けるためのラッピング、または
料理を載せるお皿のようなものですから。

その大事な中身を伝えるために、曲は効果的です。
悲しい詩なら静かな曲、嬉しい詩なら明るい曲、のように
特別なテクニックなどなくても「なんとなく」で曲は出来ます。

ここでちょっと練習してみましょう!
この2つの詩を読んでみてください。

◆日曜日。
日曜日。もうきみはいないから 寝坊できるってよろこんでたのに
…目はさめる 朝食はいつもきみのめだまやき食べてた
日曜日。でももうきみはいないから
片目だけのめだまやき 涙を流しだした
あざやかすぎる日曜色が広がって ポタリ。僕の胸に しみついた

◆キラキラドキドキ
新しい手帳に たくさんの記念日を ☆のマークでしるしたら
あたしの過去は キラキラキラキラ かがやいてる
新しい手帳に あなたとの約束を ♡のマークでしるしたら
あたしの未来は ドキドキドキドキ はずんでる
また巡る あなたとあたしの365日

この2つの詩を読んでどう感じましたか?
「日曜日。」は切ないな。男性の気持ちかな?
「キラキラドキドキ」は明るいな。二人の毎日かな?
などなど・・・
そういうふうに、詩には意味があります。思いが込められています。
ギターやピアノでコード(和音)を弾いて、それに合う雰囲気を探しましょう。
探す場所はネットでもテレビでもありませんよ!
自分の心の中に十分な音楽は眠っています。

同じ詩でも感じ方は人それぞれ。
その「それぞれ」がオリジナルの音楽になるのです。

「テクニック編」と言いつつ、テクニックは不要です!
しいて作曲テクニックのトレーニング方法をあげるとすれば、
まずは思い通りの和音が弾けるようになること、
そして詩の思いに合うメロディーを自分の心から
引き出せるようにすることですかね~。

そしてその創作活動を続けるためには
一人でも多くの人に聴いてもらい、感想をもらうことです。
これはすごく励みになります。

しかし、友達ではない人に、より多くの人に聴いてもらおうとすると
そこからは「宣伝」の要素が出てくるのでまた難しくなってきます。
ここはケチャマヨとしてもこれからの課題だと思っています。

 

■ 機材編                

※ここからはさらに細かいので、
実際に作曲するときにまた読んでみてくださいね。

機材については人それぞれですし、ソフトウェアもハードウェアも
日々進化しているのでおすすめしづらいのですが、
僕が今使っている機材を制作の過程とともにお教えします。
ご参考までに。

 

1. ノートに手描きで詩を描く

日頃から思いついた言葉をメモして貯めていきます。
そして思い立ったら歌の詩としてまとめていきます。
パソコンでもスマートフォンでもいいのですが、
ノートに書いて、考える過程を残していったほうがいいです。
最初のアイデアが一番よかったりすることが良くあるので。

この段階では意識して音楽を考えないようにしています。
「詩」単体として完璧に完成するまで何度も遂行します。

僕は、ラフなメモ書き用のノートと、
それをまとめる仮完成ノートの2種類を用意しています。
仮ノートを見ながら何度も弾き、もう完成!って言えるならライブ用に清書します。

 

2. 詩にメロディーとコードをつける

詩に込めた思いを曲にのせていきます。詩を眺めながらギターを弾いたり、
詩を暗記して散歩しながら鼻歌で歌ってみたり。とにかく何度も何度も。
粘り強く、何度も詩を読めば絶対歌はついてきます。
(こういうことをいつもしているから「頭に蝶々が飛んでいる」と言われます・・・)

素敵なメロディーが自然に浮かんだときは最高です!
あ、忘れる前に鼻歌を録音しましょう。僕はiPhoneに入れています。
通勤の時でもかまわずやります。

この時、無理やり作ろうとすると何かのマネになったりしやすいので注意。
出来ないときは一度忘れましょう。5年後に完成するなどは良くあることです。

僕はノートに書いた歌詞の上に赤ボールペンでコードを書いて、
メロディーは鼻歌で録音しています。自分で再現出来ればそれでOK。
これも理論とかは無しで、合うコードを探し当てて書くだけです。
高尚な五線譜の楽譜なんて書きません!

 

3. 仮歌をなんども聴く

ひと通りコードが付いて、メロディーもなんとなくできたら弾き語ってみましょう。
これも何度も何度も。朝起きて、お風呂上りに、寝る前に。
だんだん完成してきます。そしたらそれを録音して客観的に聴きます。
通勤途中に、料理をしながら、とにかく何度も何度も。
そうすると不自然なところが浮かび上がってきますし、
良ければ自分の歌に愛着が湧いてきます♪

ここまで、使用した機材はギターと録音機器(iPhoneとかICレコーダーとか)、
そしてノートとボールペンだけです。あとは自分の頭脳とハートをどう使うかですね。
作曲という作業はこれだけでできちゃいます。なんてエコな趣味なんでしょう!
いつでも、どこででも、誰でも出来ます。

 

4. 人に聴いてもらう

一番身近な人に聴いてもらいましょう。
基本的には「肯定してくれるけど鋭いツッコミも入れてくれる相方」が理想です。
「一度聴いたくらいでこの歌の良さがわかってたまるか!」という頑固さを持ちつつ、
「初めて聴く人にとってこの歌はどう響くだろう?」と客観的な思いやりも必要です。

これから歌を披露する時に、ほとんどの場合初めて聴かれるのですから。
感想は素直に受け止め、よりよい歌にしていきましょう。

 

5. レコーディングをする

おっとレコーディングの前に、
ぜひ人前で何度か演奏することをおすすめします。
(ライブといっても友達や家族に聴いてもらうので良いですよ)

理由としては、単純に演奏技術が上達するからです。大事です。
そしてもう一つの理由は世界観を広げるためです。
何度も人前で演奏していると、ギターを一人で弾いているだけでは
見えない景色が見えてきます。
たとえばドラムのリズムが欲しい、ピアノの響きが欲しいなど、
具体的な+1の楽器が見えてきたら素敵です。

レコーディングの具体的な方法については色々あるので
僕の方法を参考までにお教えします。
できるだけアナログに仕上げたいと思っていますが、
できるだけ簡単に仕上げたいとも思っているのでそのために
デジタルを活用する部分も結構ありますね。

 

a. MTR(マルチトラックレコーダー)を準備する

いきなりデジタル機材ですが、これでアナログの音を取り込むのです。
よく考えると、CDを作るにしてもネットに公開するにしても、
完成形はデジタルデータですよね?パソコンを使います。
なのでどこかでアナログの音をデジタルに変えるする必要があります。

僕のMTRはZOOMのR24ですが、マルチなトラックが使えればなんでもいいです。
ちょっと高いですが、頑張ってお金を貯めましょう!

◆ZOOM R24 http://www.zoom.co.jp/japanese/products/r24/

 

b. ドラムマシーンからイメージに近いパターンを探す

膨大なリズムパターンがあるのでそれを聴きながら探すのは結構時間がかかります。
日頃から、音楽を聴くときにはリズムやそのジャンルなどにも注目しておいて、
「こんな感じの歌にはこんな感じのリズムが合うんやな」と気にしておきましょう。
太鼓を叩けるひとはそれでいいと思います。太鼓がない人は何か叩けば音が出ます。
僕はお風呂の椅子をカホン替わりにしたことがあります♪
メトロノームに合わせて録音して、リズムトラックを作りましょう。

これは単なる風呂の椅子。でも音を鳴らせば楽器です!

 

c. リズムに合わせて弾き語ってみる

リズムに合わせてテンポをキープしながらギター弾き語ります。
これが慣れないと意外と難しいのですが、ギターの練習のためにも頑張って!
歌とギター、そしてリズムを合わせて何度も弾いてみましょう。
録音できたら何度か聴いてみましょう。この段階でテンポを決めてしまいます。
多分、最初に決めたテンポは速くなりがち。ゆっくり目がちょうどいいです。

 

d. 弾き語りを聞きながら、各パートを録音する

マルチトラックレコーダーなら各パートをバラバラに録音しつつ、
MIXして聴くことが出来ます。僕の場合はまずギター、次にボーカル、
そしてコーラス、ベース、+ピアノなどなど、世界を広げる音をどんどん録音します。
その都度MIXした曲を聞いて足りない音を足し、無駄な音を引きます。
パズルみたいにとっても楽しい作業です♪

それでもシンセサイザーには音色がいっぱい!ついつい音を多くしてしまいがちです。
シンプルを心がけて、音が濁らないよう、ほどほどにしましょう。
ケチャマヨとしては詩が伝わることをメインに、
他の音を少なめにするようにしています。

音を探しているだけで一日終わってしまうことも・・・。

 

e. 演奏の最終確認を行う

MTRの中で各チャンネルのバランスを取り、最終確認を行います。
最低でもヘッドフォンとスピーカーの両方で確認しましょう。
細かいノイズなどは後で、パソコンの中で削除・修正ができるので気にしません。
各パートの演奏が納得行くものになっているかどうかが大事です。

ただ、プロのミュージシャンでない限り、完璧な演奏は無理ですので、
時間と品質のバランスを考えながら仕上げていきましょう。

僕はお部屋で録音しているので、車がビュンビュン通っているときは待ちます。
録音を開始したら意外と気にならなかったりもしますが・・・。

 

f. パソコンに取り込み編集する

MTRから録音データをパソコンに取り込みます。
僕はSONARというソフトを使っています。
各チャンネルの波形を貼りこんでいきます。最近のソフトは優秀なので、
リズムの遅れなど、ちょっとした修正は波形をいじることでできちゃいます!
そしてリバーブなどのエフェクトをかけ、ボリュームバランスを調整します。
ここでほぼ最終形態なので、もし演奏に気に入らない部分があれば録り直します。

いきなり難しそうな画面ですが、慣れるしかありません。大丈夫です。

 

g. ステレオにMIXして書きだして完成!

パソコンの中でも、音声データはマルチトラック (16chや24ch)になっています。
でもイヤホンやスピーカはステレオ、つまり2チャンネルです。
なのでMIXするのですが、大したことじゃなくソフトで「書き出し」を選ぶだけです。

でも、ここからが大変です。意外と劣化するのです。こもった音になるというか。。。
書きだしてはパソコンで聴いて、iPhoneで聴いて、ステレオで聴いて、
いろんな環境でうるさすぎず、こもりすぎず、バランス取る作業はとても大事です。
せっかく想いを込めて作った歌も、聴く気にならない音だともったいないですからね。

 

h. 人に聴いてもらえる形にする

世界に一つだけの素晴らしい歌を、パソコンの中に眠らせておくのはもったいない!
一人でも多くの人に聴いてもらうために、形にしなければいけません。
まずわかりやすいのは「CD」ですね。これはiTunesを使えば簡単に作れます。
むしろ作ってからの配布・販売などが、いい方法がなくて途方に暮れますね。。。

今はインターネットが普及しているいい時代なので、ぜひネットに公開しましょう!
最初から買ってもらえるなんて普通ありえないので、まずは宣伝のために「無料」で。
そしてできるだけ、感想をもらえるようにしたいものです。

このへんはケチャマヨも試行錯誤しながらやっています。正解はないです。
お友達関係から攻めるならfacebookやtwitterがいいでしょう。
Youtubeもありですが、他にも音楽に特化した無料サイトは沢山あります。
自分にあったサイトを探しましょう(この探す作業も大変なのです。。。)

ケチャマヨは持ち歌が60曲以上ありますが、
ちゃんとレコーディングできている曲はまだまだ少ないです。
なぜならライブのほうが楽しいからです(笑)

★ ケチャマヨ音楽集(自宅レコーディング&編集したもの)
https://kechamayo.jp/news/?page_id=4541

 

ここまで、制作から公開までに僕が使った機材をリストアップしておきます。

  • アコースティックギター Gibson J-45
  • キーボード(シンセサイザー) KORG TRITON PRO
  • マルチトラックレコーダー ZOOM R24
  • コンデンサーマイク Sound King SKEC002/W
  • ヘッドフォン SONY MDR-CD900ST
  • パソコン Windows 7
  • 音楽編集ソフト Roland SONAR 8
  • オーディオインターフェース Roland UA25EX
  • その他、ノートとペン、iPhone、iTunesなど

作曲というと高い機材が必要なのかなと思ってしまいますが、
(実際、僕はちょっと見栄を張った機材を使っていますがw)
いい機材を買ったからといっていい曲が出来るわけではありません。

基本は弾き語れる楽器と鼻歌、それを忘れないための
ノートとペン、ICレコーダーから始められます。

何より大事なのは、自分と、聴いてくれる人が楽しくなれること。
そんな歌を作るに限ります。
なので、音楽制作とライブ演奏のバランスを取ることが大事だと思います。

いい歌は世界を少しずつ平和にすることが出来ます!
ぜひ、いっしょにいい歌を作って、世界に伝えていきましょう!

 

なにか質問があればお気軽にメールください。
僕も我流で、手探りで作っているので情報交換が出来たら嬉しいです。

hello@kechamayo.jp

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